同じ電流値の組み合わせでも違う電流値の組み合わせのものでも並列接続することで流れる電流はそれぞれの電流値の和になります。
また、並列接続するCRDの数量にも制限が無く、例えば18mAの製品5本並列接続すれば90mAの大きな電流を作ることも可能になります。並列接続に関してはその他いろいろな組み合わせの回路構成で応用が出来ます。
CRDはそれぞれが電流源と考えることができますので、電流源の直列接続は本来禁止事項となりますが、下記の方法で直列接続での使用が可能になります。
CRDを単純に直列接続すると、電流値の小さい側に電圧が集中して、最高使用電圧を超えてしまう問題が出てしまいます。
そこで、CRDの最高使用電圧を超えないようにする工夫が必要になります。下図のように ツェナーダイオードをCRDに並列に接続することでCRDに過電圧が印加されないように保護します。また、この時CRDの電流値は同じ電流値の製品を選定します。
接続するツェナーダイオードはブレークダウン電圧がCRDの最高使用電圧を超えないものを選定します。 表1に対応表を示します。
特性 | Eシリーズ | Sシリーズ | ||
---|---|---|---|---|
最高使用電圧 | ツェナー電圧 | 最高使用電圧 | ツェナー電圧 | |
101~562 | 100 | 91 | 100 | 91 |
822 | 30 | 27 | 50 | 47 |
103 | 30 | 27 | 50 | 47 |
123 | 30 | 27 | 50 | 47 |
153 | 25 | 22 | 50 | 47 |
183 | 25 | 22 | 40 | 36 |
CRDの直列接続することでAC85V~AC220Vの広い電圧範囲で負荷に対して定電流を供給することが可能になります。ただし、この回路はほとんどの電圧をCRDが負担するので効率の良い回路とはいえません。したがって電流が小さい場合に有効な回路と言えます。
双方向の定電流特性が必要な場合や、異常時に逆電流が流れる場合の電流制限等に応用できます。
また、下図の様に電流値をアンバランスに設定することも可能です。
たとえばバッテリーの充電電流、放電電流の制限回路では並列の接続数を変えることによって充電電流、放電電流を別々に設定することが出来ます。
静特性は、下図のように印加電圧10Ⅴ以降は印加電圧が変化しても一定の電流値になります。短時間のパルスで測定した特性は通電による発熱が無視できる条件で測定した値です。
動特性は直流で連続通電したときの電流電圧特性です。
通電によってCRDが自己発熱して熱飽和した時の電流値の特性です。
静特性と比較すると動特性は印加電圧が大きくなると電流が低下する傾向があります。CRDに加わる電圧Vと電流Iによる電力P=V×Iは熱になります。CRDの熱抵抗に比べて十分小さい発熱量の場合、顕著な温度上昇とはなりませんがしかし、CRDを100mW以上の電力で使用すると、自己発熱による温度上昇の影響が無視できなくなります。
このようなことから電流が大きなCRDの方がこの傾向が顕著になります。
これに対し、小電流の製品は自己発熱の影響が無く良好な定電流特性になっています。
CRDの動特性は自己発熱によって印加電圧が大きくなると電流値が低下しますがこの電流低下の補償するにはCRDに並列に抵抗器を接続することで補償ができます。
CRD Sシリーズ及びEシリーズの補償抵抗を表2に示します。
タイプ名 | S-102 | S-152 | S-202 | S-272 | S-352 | S-452 | S-562 | S-822 | S-103 | S-123 | S-153 | S-183 |
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抵抗値 | 1.1MΩ | 430kΩ | 300kΩ | 200kΩ | 130kΩ | 91kΩ | 62kΩ | 27kΩ | 18kΩ | 15kΩ | 12kΩ | 9.1kΩ |
タイプ名 | E-102 | E-152 | E-202 | E-272 | E-352 | E-452 | E-562 | E-822 | E-103 | E-123 | E-153 | E-183 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
抵抗値 | 1MΩ | 390kΩ | 240kΩ | 120kΩ | 82kΩ | 56kΩ | 39kΩ | 20kΩ | 15kΩ | 11kΩ | 9.1kΩ | 7.5kΩ |
ピンチオフ電流1mA以上の定電流ダイオードは電流が負の温度係数を持ち自己発熱によって電流値が減少します。
電流値の減少を補償抵抗によって電流値の減少を抑制して良好な定電流特性を実現することができます。
グラフ3.グラフ4は自己発熱補償抵抗で補償後の動特性です。
最適な自己発熱補償抵抗の選定は実装状態の熱抵抗によって変化しますので実際の実装状態で抵抗値を変えて実験で求めることを推奨します。